【実例紹介】更地なのに古い登記が?ひいひいじいさんの建物を滅失登記した実例を紹介

【実例紹介】更地なのに登記が残ってる?ひいひいじいさん名義の古い養豚場を滅失登記したお話

こんにちは!土地家屋調査士の淵名です。私の事務所では日々いろんな土地や建物の登記に走り回っていますが、今回はその中でも特に記憶に残っている「更地の中にポツンと残された、ひいひいじいさん名義の建物の登記」を無事に滅失登記(抹消)したときのエピソードをお話ししますね。

もちろん依頼者様のプライバシーに関わるところはアレンジしていますが、実務のリアルなポイントはそのまま残してあります。「土地を売りたいのに昔の登記が残っている……」「もう建物なんてないのにどうすればいいの?」という方や、土地家屋調査士って普段どんな泥臭い仕事をしてるの?と興味がある方にも、きっと参考にしてもらえるはずです!

今回の主役は、現地には影も形もない「存在しない建物」。底地の土地を売買するにあたり、法務局の登記記録を調べてみたら、なんと自分が名前も知らないような大昔のご先祖様(ひいひいおじいさん世代)の名義のまま、建物の登記だけがポツンと残っていたのです。現地は完全な更地なのに、書類上だけ建物が生きている状態。新しく建てる登記よりも、実は「昔あったはずの建物の終わり」を今になって証明する方が、何倍も難しくて泥臭い調査が必要になります。その劇的な舞台裏をお見せします!

きっかけは土地の売買。登記簿に残された「見知らぬ名義」

ことの始まりは、ある土地の売買手続きを進めるためのご相談をいただき、私が受任したことでした。その底地(土地)をきれいに整理して売却しようとしたところ、登記記録をチェックして思わず手が止まりました。そこには、全く記憶にない建物の登記が残ったままだったのです。

慌てて現地を確認しに行きましたが、そこは遮るものもない綺麗な「更地」。建物なんてどこにもありません。しかし、日本の登記制度では、建物が現実になくなっても、自動的に登記が消えることはありません。誰かが「取り壊しました」という申請(建物滅失登記)をしない限り、100年前の登記でもそのまま残り続けてしまうのです。

今回の登記名義人は、土地の所有者さんから見ても「相当昔の人」。ただ、土地の所有者さんにお話を深く伺ってみると、「その名義人の相続人にあたる人のうち、一人だけなら連絡先を知っている」という、大きな手がかりを得ることができました。

相続人を突撃訪問!「自分の祖父の仕事だったかもしれない」

私はさっそく教えていただいた連絡先を頼りに、相続人のうちの1名の方へ会いに行きました。そして、現地は更地であること、昔のご先祖様名義の登記が残ったままで土地の売買に支障が出ていること、このままではいけないので「建物滅失登記」をする必要があることを丁寧に説明しました。

最初は「そんな名前の人は初めて聞きました」と困惑されていた相続人の方。しかし、手元の書類を見ながら一緒に記憶を辿っていくうちに、驚きの事実が浮かび上がってきました。

💡 紐解かれたご先祖様の記憶

  • 名前の類似性:「よく見たら、自分の祖父と名前がすごく似ている。祖父の父親か、あるいはさらに上のご先祖様かもしれない……」
  • 建物の種類の謎:登記記録に載っていた建物の種類は、なんと「養豚場(附属建物)」。これを見た瞬間、「あっ!昔、自分のじいちゃんが養豚の仕事をやってたって聞いたことがある!私が小さい頃に辞めて、その跡地に倉庫を建て直したのを覚えています!」と、古い記憶が一気に繋がったのです。

これで点と点が線で結ばれました。相続人の方も事の重大性とご自身のルーツを納得してくださり、「そういうことなら、私が相続人として申請人になります」と、快く建物滅失登記の申請人になっていただくご了承を得ることができました。

戸籍の壁と「いつ壊したか」の証明に挑む

ここからが土地家屋調査士としての本当の腕の見せ所です。今回の高いハードルは次の2つでした。

(1)ひいひいじいさんからの「相続関係の証明」

大昔の登記名義人と、今回協力してくださる申請人の方が、間違いなく血の繋がった相続人であることを法務局に証明しなければなりません。申請人の方の全面協力のもと、何代にも遡る膨大な戸籍謄本を職権で収集し、複雑に絡み合った相続関係証明書類を一から作り上げました。

(2)建物が「いつ滅失したか」の特定

建物滅失登記では、法務局に「〇年〇月〇日に取り壊した」という原因日付を出さなければなりません。しかし、大昔のことなので正確な日付は誰の記憶にもありません。そこで私は市役所の固定資産税担当窓口に飛び、古い固定資産の課税状況を徹底的に調べてもらいました。すると、幸運にも役所の記録にその建物への課税が停止された(滅失した)年が残っていたのです!

この役所のデータは、申請人の方の「小さい頃に辞めた」という記憶、そして当時の年代の航空写真から確認できる情報とも見事に一致しました。さすがに「月日」までは特定できなかったものの、客観的な証拠が揃ったことで、登記の原因日付を「昭和〇〇年月日不詳取壊し」として特定することができたのです。

法務局への申請、そして無事完了へ

集めきった大量の戸籍謄本、滅失の証拠となる資料、そして申請人の方からいただいた委任状をバチッと揃え、万全の状態で管轄の法務局へと建物滅失登記の申請を行いました。

無事に古い養豚場の登記を完全に抹消することができました!これにより、底地の土地は何の障害もなく、綺麗な状態で次の買い手へと売買を進められるようになったのです。

すっきり解決して、次の世代へ安心を

登記が完全に消え、無事に土地の売買ができるようになったとき、土地の所有者様も、そして突然の訪問にもかかわらず大昔の記憶を辿って協力してくださった申請人様も、「ずっと残っていた古い問題が、これでようやく片付きました」と、本当にホッとした笑顔を見せてくれたのが何より嬉しかったです。

現地にはもうない建物であっても、登記簿の中に幽霊のように残り続ける古い登記。普段生活している分には実害がなくても、いざ土地を売ろうとしたり、相続が発生したりした時に、突然巨大な壁となって目の前に立ち塞がってきます。何代も世代を重ねてしまうと、関係する相続人がネズミ講式に増えてしまい、今回のようにスムーズにハンコをもらうことが難しくなってしまうからです。だからこそ、気づいた時に早めに動くのが一番の正解なんです。

【おわりに】

ひいひいじいさん名義の建物の滅失登記は、確かに普通の戸建ての取り壊しと比べれば、集める戸籍も膨大で、古い取り壊し時期の証明など、かなりハードな実務になります。でも、今回のように役所の固定資産データや古い航空写真、そして親族の方のわずかな記憶のピースをうまく組み合わせれば、ちゃんと道は開けます!諦めなくて本当に大丈夫です。

「土地を売りたいのに、大昔の建物の登記が残っている……」「もう壊して何十年も経つのに、登記簿に載ったままでどうすればいいか分からない」という方は、ぜひ一度お気軽に私にお声がけください。戸籍の収集から、役所への泥臭い調査、法務局への申請まで、お隣を走るパートナーとしてワンストップでまるごとサポートします。一緒にすっきり解決しちゃいましょう!

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