【10月改定】永住許可の新ガイドラインを解説|年収・年金・日本語B1の新基準とは

「永住許可は、年収575万円ないと取れなくなったの?」
「日本語の試験を受けないといけない?」
「日本人と結婚していれば、今までどおり3年で申請できる?」
2026年10月1日、出入国在留管理庁が「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。前回取り上げた手数料の値上げと同じ日です。年収や年金、日本語能力など、審査で見られるポイントが初めて具体的に示され、大きなニュースになりました。
ただ、報道の見出しだけを読むと誤解しやすいところもあります。この記事では、改定の中身と適用時期を整理し、これから永住を考えている方が何を準備すればよいかを解説します。
💡 本記事の結論
永住の要件そのもの(素行・生計・国益)は変わっていません。変わったのは、その要件をどう判断するかという「物差し」が具体的になったことです。
新しい基準は、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。ただし収入に関する部分は、すでに審査中の申請にも適用されるので注意が必要です。
📰 永住許可ガイドライン改定の概要と適用時期
入管法が定める永住許可の要件は、次の3つです。
- 素行が善良であること
- 独立して生計を営むのに足りる資産または技能を持っていること
- その人の永住が日本の利益に合うと認められること
これまでのガイドラインはこの大枠を示すだけで、「年収はいくらあればよいか」といった目安は公表されていませんでした。そのため、実際の目安は専門家の解説や申請経験者の話で共有されているのが実情でした。今回の改定で、その判断の中身が初めて書き込まれたことになります。
いつの申請から適用される?
| 対象 | 適用される申請 |
|---|---|
| 原則(日本語・制度理解・配偶者特例など) | 2027年4月1日以降の申請 |
| 収入・公共の負担に関する部分 | 2026年4月1日以降に申請し、10月1日時点で審査中の申請にも適用 |
つまり、「10月から全員に新基準が適用される」わけでも、「来年4月までは何も変わらない」わけでもありません。すでに申請中の方は、収入面の審査が新しい考え方で行われる可能性があります。
なお、同じ日に「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」もつくられています。永住を取るときだけでなく、取った後の税金や社会保険料の納付も、これまで以上に重要になっています。
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」
🧩 新ガイドラインで変わる6つのポイント
① 年収:「日本人世帯の平均」が物差しに
申請者の世帯の年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を、継続して上回っているかが見られます。
報道でよく出てくる「575万円」は、国民生活基礎調査による1世帯あたりの平均所得です。審査では世帯人数ごとの水準で見るため、全員にこの数字がそのまま当てはまるわけではありません。
また、世帯年収は同じ生計の家族の収入を合算しますが、家族滞在など就労が目的ではない在留資格の方のパート収入は、合算されない場合があります。海外に住む扶養親族がいれば、その人数も世帯人数に加えられることがあります。
② 年金:将来の受給見込みも確認
申請時の収入で30年間厚生年金に加入した場合の年金水準を目安に、将来受け取れる見込み額が比べられます。年齢などの事情で足りない場合も、金融資産で補えると認められれば考慮されます。今の収入だけでなく、老後まで生活できるかという長い目線が加わった形です。
③ 日本語能力:B1相当以上
「日本語教育の参照枠」でB1相当以上の力があるかが考慮されます。B1は、身近な話題であれば、日常の場面で自分で対応できるくらいのレベルです。高度人材やその家族、一定の学校教育を受けた方などには例外があります。
④ 日本の制度やルールの理解
入管庁が発行している「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に、日本の制度や暮らしのルールをどれだけ理解しているかが確認されます。
⑤ 子どもの就学
学齢期の子どもを育てている場合は、小学校や中学校に通っているかも見られます。
⑥ 日本人・永住者の配偶者の特例が厳しく
これまでは「婚姻3年以上、日本での在留1年以上」で申請できましたが、婚姻5年以上、在留3年以上に引き上げられます。結婚後の生活設計にも関わる変更です。
🏛 元区役所職員として窓口で見てきたこと
私が区役所の窓口職場にいたのは、平成23年から25年ごろです。ちょうど平成24年7月9日に外国人登録制度が廃止され、在留カードの制度が始まった時期にあたります。外国人の方も、日本人と同じように住民票に載るようになったのもこのときです。
ただし、古い外国人登録証明書がすぐに使えなくなったわけではありません。在留資格に応じて一定の期間、在留カードとみなされていました。永住者の方であれば、平成27年7月8日までです。そのため当時の窓口では、古い証明書と新しいカードが混在していました。
その地域には外国人住民の方が非常に多く、転入届などの手続きを日常的に受け付けていました。特に多かったのが、今でいう「家族滞在」で来日したばかりの方です。
そうした方の多くは、日本語でのやりとりはもちろん、日本の生活や習慣そのものにまだ慣れていない様子でした。窓口にあった通訳サービスを介したり、簡単な英語を交えたりしながら、日本人でもわかりにくい役所の手続きを一つひとつ説明したことをよく覚えています。
新しい基準が求めているもの
新ガイドラインに加わった日本語能力や制度・ルールの理解は、まさにこの「自分で日本の暮らしを回していけるか」を確かめるものだと感じます。役所の手続き、子どもの学校、税金や年金の納付といったことを、通訳なしでもある程度こなせるかどうかです。
永住は、日本で最も安定した在留資格です。来日直後は通訳に頼っていた方も、年数を重ねるうちに自分で手続きができるようになる。新しい基準は、その積み重ねを「形」として見るようになった、とも言えるでしょう。
⚠️ これから永住を考えている方へ
- 年収は「世帯」で計算し直す: 配偶者の収入が合算されるかどうか、海外の扶養親族がいるかで、求められる水準が変わります。
- 年金・税金は「期限どおり」に: 未納がないことに加え、納期限を守っているかも従来から見られています。
- 日本語は早めに準備を: 2027年4月以降に申請するなら、B1相当の力をどう示すかを今のうちに考えておきましょう。
- 手数料は20万円: 不許可になると負担が大きいため、要件を満たしているかを申請前によく確かめることが大切です。
まとめ
- 永住の要件は変わらず、判断の物差しが具体的になった。
- 年収は世帯人数に応じた日本人世帯の平均が目安で、575万円が一律の基準ではない。
- 年金の受給見込み、日本語B1相当、制度・ルールの理解、子どもの就学も見られる。
- 配偶者の特例は「婚姻5年・在留3年」に。
- 原則は2027年4月の申請から。ただし収入面は審査中の申請にも適用される。
※本記事は2026年10月時点で出入国在留管理庁が公表している情報に基づいています。実際の審査は個々の事情を総合的に判断して行われます。
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行政書士・土地家屋調査士 ふちな事務所(愛知県新城市字井道27番地)
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