【実例解説】建物の種類変更登記とは?抵当権設定に向けた実例と「事務所への変更」手続き

建物の種類変更登記:実例で学ぶ手続きの流れと「いつ、何に」の重要性

「建物を担保に入れて融資を受けたいが、登記上の『種類』が現状と違うため、このままでは抵当権の設定ができないと言われた……」

融資や不動産取引の現場では、このような「現況と登記の不一致」がしばしば問題となります。この事態を解消するために必要となるのが「建物表題部変更登記(種類変更)」です。

本記事では、店舗から事務所へ用途を変更した実例を基に、種類変更登記において何が重要視されるのか、および具体的な手続きの流れについて詳しく解説します。

※本記事は実例を基に構成していますが、依頼者様のプライバシー保護および守秘義務遵守のため、事実関係を一部変更・抽象化して記載しております。

1. 建物種類変更登記とは?

建物表題部変更登記の中でも、特に「種類」の変更に特化した手続きについて解説します。

種類変更登記の定義

建物の「種類」とは、その建物がどのような用途で使用されているかを示す登記事項です(例:居宅、店舗、事務所、共同住宅など)。
建物種類変更登記とは、リフォームや用途転換(コンバージョン)によって、登記された当初の用途から現在の実態が変わった場合に、登記記録を現状に合わせる手続きを指します。

なぜ「種類変更」が必要なのか?(抵当権設定との関係)

金融機関が建物に抵当権を設定して融資を行う際、登記記録の内容と建物の現況が一致していることが厳格に求められます。
例えば、現況は「事務所」として使われているのに、登記記録が「店舗」のままである場合、担保評価の前提が崩れるだけでなく、同一性の確認に支障をきたします。そのため、融資実行の前提条件として、種類変更登記を求められるケースが非常に多いのです。

2. 実例:店舗から事務所への変更による抵当権設定

今回ご紹介するのは、所有する建物を担保に事業資金の融資を受けようとされたオーナー様からのご相談です。

【ご相談内容の概要】

  • 現状の登記記録: 種類:店舗
  • 現況: 数年前からテナントが退去し、現在は自社の「事務所」として使用している。

【ご要望】

  • この建物を担保に入れて銀行から融資を受けたい。
  • 銀行から「登記上の種類が『店舗』のままだが、現在は『事務所』として使われているため、抵当権設定の前に種類変更登記を行ってほしい」と指示された。

【課題と解決策】

単に「事務所に変えました」と申請するだけでは登記は通りません。登記官に対し、建物が物理的にも機能的にも「事務所」として利用されていることを客観的に証明する必要があります。

3. 種類変更登記における最重要ポイント

建物の種類変更において、法務局が最も重視するのは「いつ、何に変更となったか」という事実関係です。

① 「いつ(変更の時期)」の特定

不動産登記法上、建物の表題部に変更が生じたときは、その日から1ヶ月以内に登記を申請する義務があります。実務上は、実際に用途転換の工事が完了した日や、新しい用途での使用を開始した日を特定し、申請書に記載します。

② 「何に(変更後の種類)」の判断

変更後の種類が不動産登記事務取扱手続準則に定められた基準(居宅、店舗、事務所など)に適合している必要があります。

③ 客観的証明書類の準備(ヒアリング)

今回のケースでは「店舗から事務所への変更」であったため、オーナー様へのヒアリングを基に、上記内容を客観的に証明できる書類として、事務所の契約書を準備していただきました。これが有力な証拠資料となります。

4. 種類変更登記の手続きの流れ(ステップ別)

実務上、建物種類変更登記は以下のような流れで進みます。

ステップ1:ヒアリングと事前調査

まずはオーナー様から「いつ頃から用途を変えたのか」を詳細にヒアリングします。あわせて登記記録や過去の図面を確認し、種類以外の変更がないかもチェックします。

ステップ2:現況調査と写真撮影

土地家屋調査士が現地に赴き、建物の内部を確認します。店舗特有の設備が撤去されているか、デスクやOA機器が配置され「事務所」としての実態を備えているかを調査し、写真を整理します。

ステップ3:証明書類の整理

ステップ3で触れた「事務所の契約書」などの客観的な証拠資料を、申請書に添付できる形に整えます。

ステップ4:登記申請

管轄の法務局に対して「建物表題部変更登記」を申請します。なお、種類変更のみの登記申請であれば、登録免許税は非課税です。

ステップ5:登記完了と抵当権設定へ

登記が完了すると、表題部の種類欄が「店舗」から「事務所」へと書き換わります。これにより現況と登記が一致し、ようやく司法書士による抵当権設定登記が可能となります。

5. まとめ:適正な登記がスムーズな取引を支える

今回の実例のように、抵当権設定という大きな目的のために種類変更登記が必要になるケースは多々あります。

  • 「いつ、何に変更したか」を正確に特定すること
  • 実態を証明できる書類(契約書等)を準備すること
  • 現況調査により事務所としての実態を裏付けること

正確なヒアリングと資料準備が、確実な登記完了への近道です。

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