相続登記後も安心できない?2026年問題で急増する境界確認と土地家屋調査士の役割

「実家の相続登記が義務化されたってニュース、そういえば少し前に見たな……」
「親が亡くなってからずっとそのままにしていた実家の土地、そろそろ何とかしないといけないのかな?」

2024年4月にスタートした「相続登記の義務化」。法改正の当時はテレビや新聞、ネットでもかなり大きく取り上げられたので、覚えている方も多いと思います。それから丸2年が経った今、世間では実家の名義変更手続きを無事に終えられた方が本当に増えてきました。「放置するとペナルティがあるかも」という話が、一般にも広く浸透してきた証拠ですね。ひとまず手続きを終えた皆さん、本当にお疲れ様でした。

でも実は今、全国の現場で、ある「次なる大きな波」が起きているのをご存知でしょうか?

せっかく相続登記を無事に済ませた人たちや、これから実家の処分を真剣に考えようとしている人たちから、私たち土地家屋調査士への『境界確認(測量)』のご依頼が、今まさに急増しているんです。

「登記の話は司法書士さんでしょ?どうして土地家屋調査士の出番なの?」
「名義が変わって自分の土地だとハッキリしたんだから、もう安心じゃないの?」

そう思われるのも無理はありません。でも、ここには不動産や土地の相続における、すごく盲点になりやすい「落とし穴」と、今まさに不動産業界で話題になっている「2026年問題」という巨大なトレンドが深く関係しています。

今回は、相続登記の義務化から2年が経った今だからこそ知っておきたい、「なぜ今、境界確認が必要不可欠なのか」「土地家屋調査士が現場で何をしているのか」を、専門用語抜きでざっくばらんにお話しします。ご自身やご実家の土地の価値をしっかり守って、次の世代へトラブルなく引き継ぐためのヒントとして、ぜひ気楽に読んでみてくださいね。

1. おさらい:相続登記の義務化から2年、現在の状況はどうなってる?

まずは、すべての発端となった「相続登記の義務化」について、基本のキをサラッとおさらいしておきましょう。教科書的な細かい法律の話はさておき、この大まかな流れを掴んでおくと、なぜその後に土地家屋調査士が必要になるのかが、すごくよく分かります。

この制度は2024年の4月から始まりました。目的はシンプルで、日本中で大問題になっている「ぶっちゃけ誰の土地か分からない場所(所有者不明土地)」が増えるのを防ぐためです。誰のものか分からないと、災害時の復旧工事がストップしたり、地域の再開発ができなかったりと、何かと困るから国が本腰を入れたわけです。

よく言われる一般的なポイントを、ギュッと3つにまとめるとこんな感じです。

📌 ざっくり分かる!相続登記義務化の3大ポイント

  • 知ってから3年以内に名義変更する:財産を引き継いだことを知ってから3年以内に、法務局で手続きをするルールになりました。
  • 大昔の相続分もぜんぶ対象:制度が始まるよりずっと前(2024年4月以前)に亡くなった方の名義のまま放置されている土地も、例外なく対象です。
  • ずっと放置するとペナルティも:正当な理由がないのに手続きをサボっていると、10万円以下の過料(ペナルティ)が科される可能性があります。

この2年間、多くの人が「実家の名義がおじいちゃんのままだ!」「親の土地を早く手続きしなきゃ」と動き、司法書士の先生に頼んだりしながら、書類上の名義変更(法務局での手続き)を進めてきました。

ただ、ここで多くの方が「書類上の名義が変わったから、これで実家の土地問題はすべて解決!」と勘違いしてしまいがちなんです。実は、書類上の手続きが終わった瞬間から、今度は「実際の現地の土地をどう管理して、どう処分するか」という、めちゃくちゃリアルな現実問題がスタートします。ここからが、私たち土地家屋調査士の本当の出番です。

2. 名義が変わった後に直面する「実際の土地はどこからどこまで?」問題

無事に相続登記が完了して、登記簿の「所有者」の欄にご自身の名前がカチッと載ったとします。これで法律上、あなたがその土地の正当なオーナーであることはバッチリ証明されました。

では、その書類を持って実際に現地の土地に行ってみてください。隣の家との境目や目の前の道路を見て、「私の土地は、ここからここまでです!」と、ミリ単位・センチ単位で自信を持って指をさすことができるでしょうか?

実は、日本の土地、特にお父さんやおじいちゃん世代が何十年も前に買った古い実家や、田舎の広い土地の多くは、現地の「境界(きょうかい)」がかなり曖昧なまま放置されています。

🚨 私たち土地家屋調査士が現場で見る「リアルな現実」

  • 境界の目印になるはずの「境界杭(コンクリートの矢印やプラスチックのピン)」が、どこを探しても見当たらない。
  • 昔にお互いの話し合いで決めたはずの生垣やブロック塀だけど、実はどっちの敷地内に立っているのか、今となっては誰も正確に覚えていない。
  • 隣の家のカーポートの屋根や、庭木の枝・根っこが、自分の土地(だと思っている場所)にガッツリはみ出してきている。

司法書士の先生が扱う「権利の登記」は、法務局のパソコンの中のデータを書き換える作業です。一方で、私たち土地家屋調査士が扱う「境界確定」は、そのデータと、現地の実際の地面(物理的なカタチや範囲)をズレなく完全に一致させる作業です。

相続登記で「誰の土地か」が決まったからこそ、次のステップとして「その範囲は具体的にどこまでか」をハッキリさせないと、土地を売ることも貸すこともできません。義務化から2年が経って名義変更という第一関門を突破した人たちが、この「現地のリアルな問題」に直面して私たちのところに次々と相談に来られているのが、今のご依頼急増の大きな理由です。

3. 不動産業界が直面する「2026年問題」と境界確認の関係性

さらに、今このタイミングで境界確認の依頼が爆発的に増えている背景には、不動産業界や社会全体が大きな転換期を迎えている「2026年問題」が密接に関わっています。

2026年問題って何かというと、ひと言で言えば「相続された実家や古い土地が、一斉に売りに出されることで、売りたい人が多すぎてトラブルが多発しちゃう問題」のことです。

2024年の義務化スタートによって、これまで眠っていた全国の土地が一気に動き出しました。無事に名義変更を済ませた相続人(たとえば、都市部に住んでいて地方の実家を引き継いだ子ども世代など)の多くは、こう考えます。
「自分が住む予定はないし、毎年の固定資産税や草刈りの費用だけがかかるのはもったいない。名義も自分に変わったことだし、早く不動産屋さんに頼んで売っちゃおう!」

こうして、2026年の今、市場にはかつてないほど大量の「相続された土地や実家」が売りに出されようとしています。でも、いざ不動産会社に「売りたいんですけど」と相談すると、担当者からまず間違いなく、こんな条件を突きつけられることになります。

💡 不動産売却の絶対条件:「境界確定」

「今の不動産取引では、売り主さんの責任で、隣の土地との境界を100%ハッキリさせた状態(確定測量済み)で引き渡すのが原則です。どこまでか分からない土地は、後から買い主さんと隣の人との間で大揉めするリスクがあるので、まともな金額では買い手がつきません。下手をすると、仲介自体をお断りすることもあります。」

そうなんです。いくら相続登記をして自分の名義にしても、土地家屋調査士による「境界確認」をしていない土地は、今の不動産市場では「売り物にならない」のがシビアな現実です。実家を売ってスッキリしたいと考えた人々が、不動産屋さんに言われて初めてこの事実に気づき、「先生、大至急、現地の測量と境界の確認をお願いします!」と、私たちの事務所に駆け込んでくる。これが、2026年問題と連動した、依頼急増の舞台裏にあるメカニズムです。

4. 境界確認を後回しにするリスクと、土地家屋調査士の仕事

「うちはまだ売る予定はないから、境界確認なんてしなくて大丈夫でしょ」
そう思われた方もいるかもしれません。でも、元公務員の視点、そして数々の現場を見てきた土地家屋調査士の視点から言わせていただくと、境界確認を「いつか売るときまで」と後回しにするのは、実はものすごくハイリスクなんです。

土地家屋調査士が行う「境界確定測量」というのは、ただ最新の機械を三脚に載せて地面の数字を測るだけ、という単純な仕事ではありません。本当に時間とエネルギー、そしてノウハウが必要なのは、「過去の古い資料をじっくり読み解くこと」と「隣の人との誠実な話し合い(立ち会い)」なんです。

大昔の図面や法務局に残された古い記録、役所が保管している道路の図面などをすべて集めて現地の状況と照らし合わせ、「ここが正しい境界の可能性が高いですね」というアタリをつけます。その上で、隣の土地の所有者の方々にお声がけをして、実際に現地の境界線の上に一緒に立ってもらい、「お互いにこの線で間違いありませんね」という同意をいただき、正式な書類にサインとハンコをいただくというステップを、1軒ずつ丁寧に踏んでいきます。

これを後回しにしていると、現場では以下のような事態が平気で起こります。

発生するリスク 現場で起きる具体的なデメリット
隣の人が引っ越したり世代交代したりする 昔からの事情をよく知っている隣のおじいちゃんが亡くなったり、土地が売られて別の人が引っ越してきたりすると、「昔の口約束」や経緯が一切通用しなくなります。新しく来た人とイチから境界の合意をもらうのは、ハードルが跳ね上がります。
いざという時にすぐ売れない 境界確定測量には、お隣さんとのスケジュール調整や役所の手続きを含め、スムーズにいっても3ヶ月〜半年くらいの時間がかかります。「良い買い手が見つかったから来月売りたい!」と思っても、すぐに境界が確定できずに取引が流れてしまうことがあります。
災害で目印が消えてしまう 地震や大雨などで土砂崩れが起きたりブロック塀が壊れたりした際、もともとの境界杭を打っていなかった土地は、「どこを基準に直していいか」が分からなくなり、お隣同士で深刻なトラブルに発展しがちです。

土地家屋調査士への依頼が急増しているのは、こうしたリスクを先回りして回避するために、「親が元気なうちに」「隣の人が昔馴染みのメンバーであるうちに」という判断で、いわば「土地の健康診断」として境界を確定させておこう、という賢明な方が増えているからでもあるんです。

5. まとめ:相続登記から境界確定へ。大切な財産を一緒に守りましょう!

2024年の「相続登記の義務化」から丸2年。そして2026年現在の「2026年問題」。これらの社会の大きな動きは、すべて一本の線でつながっています。

それは、「これからは、自分の土地の権利も、物理的な境界も、所有者自身が責任を持って正しく管理して証明しなきゃいけない時代になった」ということです。役所の書類上の名義を変える(司法書士さんの領域)だけで満足するのではなく、現地の実際の地面の境界を確定させて、正しい図面と境界杭を配置する(土地家屋調査士の領域)ことで初めて、あなたの大切な不動産は、誰からも文句を言われない「本当の資産」になります。

私は元公務員なので、役所がどんなロジックで土地のデータを管理し、どんな手順で申請を進めるのかという「行政側の視点」を熟知しています。そして現在は土地家屋調査士として、最先端の測量技術を使いながら、現場で一本一本の境界杭を正確に復元し、お隣同士が笑顔で納得できる円満な境界確定をサポートしています。

実家の相続登記が無事に終わってホッとしている方も、これから手続きを考えている方も、ぜひ一度、現地の地面に目を向けてみてください。もし「そういえば境界杭なんて見たことないな」「隣とのブロック塀の境界、実はよく分からないな」と少しでも不安に思われたら、手遅れになってトラブルになる前に、お気軽に当事務所にご相談くださいね。

複雑な役所への申請から、現地での綿密な測量、お隣さんとの丁寧な立ち会いまで、あなたの街の身近な専門家として、ワンストップで大切な財産と未来の安心を守るお手伝いをさせていただきます。土地の迷宮に迷い込む前に、まずは最初の一歩を一緒に踏み出しましょう!

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